駅前土曜寺子屋だより 学習方法の決め方

11月11日広報係 野﨑(文責)/馬場

駅前土曜寺子屋では、前241号(9月刊)で「学習者が少なく、2、3組が学習しているのみ」とご報告しておりましたが、コロナ流行が落ち着き、行動/入国制限も緩和されたためか、学習者の入会希望が増えてきました。逆に、迎え入れる会員が足りなく、学習希望者の方に待機していただいている状態が続いています。

ただ、その待機期間も長くなっており、「待たせてばかりでは」との東寺子屋長の配慮によって、時間のとれる会員との間で、この10月22日より学習スタートとなりました。
今回、レポートするのは、そのような二組の学習ペアについてです。

個人的には、にほんごの会が学習プログラムをもつ学校ではなく(←否定しているわけではありません)、学習者の要望に沿う形でその日ごとの学習が成り立つ仕組みにあって、では、その要望にどのような学習方法で応え、学習を進めていくのか、それらのことを話し合う初回の打ち合わせと、その後、実際どのように進められたのか、に興味があります。
具体的には、10月22、29日に行われた打ち合わせ並びに初回学習の様子を、11月5日に担当会員にお聞きしました。

一組目は、スミスさん(ガーナ出身・30代半ば・男性)を会員亀山ユキコさんが迎え入れ、学習を始めたときの様子です。スミスさんは8月末より待機しており、亀山さんは、直接担当されている王さんが中国へ帰国中とのことで、王さんが帰国するまでのしばらくの間、担当されることになりました。

22日初顔合わせの日。スミスさんは、「日本の人と会話をしたい」との目的で入会。その理由は、お住いのマンションで、一日中オンラインで仕事されているため、人と会話をするのが稀だからだそう。ならばと、亀山さんも、スミスさんのことを聞き出そうといろいろお話されたそうですが、スミスさんは、あまり自分からはお話ししようとする方ではなかったようです。

そこで、亀山さんが、スミスさんとの「日常会話」を進めるために用意されたものとは?

29日の学習初日。この日の学習には、連絡の行き違いからたまたま教室に来られていた田中暁さん(さとる・中国出身・50代男性)が加わりました。
この田中さんはよくお話しされる方で、スミスさんにもよく話しかけてくれたそうです。その様子をご覧になって亀山さんも、男性どうしであれば会話も弾むかもしれない、事情・条件が許せばこのような組み合わせでの学習ができれば、と考えたそうです。

この日は図らずもこのような学習展開となりましたが、亀山さんがスミスさんとの学習のために用意されたのは、登山家・野口健さんの自伝でした。
この本を読んでの感想を、取材したこの日(5日)の学習でお聞きする予定だったそうですが、残念ながらスミスさんは、体調不良のためにお休み。スミスさんが通常どおり教室にいらっしゃっていれば、このレポートも、さらに、お二人の、今後の学習展開のしかたの一端をお伝えできるものになったかもしれません。

もう一組、22日に学習をスタートさせたのは、東寺子屋長がご自身の授業後に担当されることとなった“組”です。学習者は、通称シャザさんことラーマーさんと通称ナナさんことヴィルギアニさんとの、インドネシアからの留学生お二人(20代半ば、女性)です。この方たちとは、大学授業でのテキスト『初級日本語 げんき』を復習されていくとのことでした。

以上のように、学習者の要望は、大きく「会話をすること」「テキスト類を学習すること」の二つに分けられると思います。後者は、方法が具体的なものですが、前者については、有体に申し上げれば「話のネタ」の“引き出し”をいっぱい持っていないと弾むものも弾まない=授業が進めにくいものとなってしまいます(実感です)。今回は、“亀山さんの方法”を教えていただきましたが、今後は会を通じて広くそれらを集め、データベース化といっては大袈裟ですが、一つのプログラムのようなものができれば、と思いました。

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